社内ブラックであれば、仮審査に通ったとしても、本審査で落とされるというケースも少なくありません。
消費者金融やカードローン、クレジットカード会社などの金融機関は、個人信用情報機関に登録された信用情報が審査に一番影響を受けるとされていますが、本審査の最終段階になると、社内ブラックリストにも照合して、審査の合否を決定します。
じゃあ、社内ブラックのチェックを仮審査ですればいいのでは?と思うでしょうが、「全件照会」というルールがあって、申込者全員を必ず信用情報機関で照会しなければならないのです。
以前は、もちろん社内ブラック情報で仮審査していましたけど、現在は、信用情報機関への照会の後になっています。
自己破産者や債務整理者が影響を受けるブラック情報は、個人信用情報機関に登録されている金融事故情報です。
これらはカード発行や融資、割賦の際に照会される情報であって不動産の賃貸契約時などでは照会できません。
社内ブラックリストの履歴は一生消すことはできない
「社内ブラックリスト」とは、消費者金融、クレジットカード会社、銀行が個人情報や利用実績、返済実績や審査した時のコメント等について自社が持つデータベースを作成したものです。
信用情報機関に登録された自己破産や延滞などの情報は、登録期間が過ぎれば削除されますが、顧客の詳細な情報が記載された社内ブラックリストの記録は、絶対に消えて信用情報が回復するということはありません。
まして登録された本人が、自分で消せるものでもありません。
大手消費者金融が中小の消費者金融を吸収合併したり、銀行が大手消費者金融を傘下にしたのも、この社内ブラックリストと経営ノウハウが必要だったのです。
この社内ブラックリストには大きな弱点があり、同一人物を紐付けできない場合があります。
その紐付けされない(同一人物と判断できない)方法は知っていますが、ここで書いてしまえば、金融機関への挑発行為となるため控えさせて頂きます。
社内ブラックリストはブラックな情報だけではない
金融会社が各自保有し一般に公開されない社内ブラックリストには、実は、ブラックな悪い情報だけが記載されているのではなく、顧客の利用履歴や返済履歴、交渉履歴などのコメントも全て入力されていますが、支払い状況の良い情報も記載されています。
例えば、返済が遅れている延滞中の人に何時何分に電話連絡での督促をし、どのような内容の話をした、あるいは電話に出なかったとかの細かい情報を入力しています。
社内ブラックの関連会社での共有
この社内で使われるブラックリストは、個人信用情報機関へ報告する貸付、入金等の登録ではなく、金融機関各社が独自で保有し、社員全員が閲覧できる類のものでない選ばれた社員だけが共有する情報なのです。
この社内ブラック情報については保証会社等関連会社にも提供されています。
情報の共有については、各金融機関の「個人情報の取り扱いについて」に明記されています。
例)三井住友カード「個人情報保護宣言」
繰り返しますが、社員であれば誰でも検索や閲覧ができるという情報ではなく、情報室は壁に閉ざされ、出入りには携帯電話の持ち込みも禁止されています。
社内ブラックの他社との共有
各金融機関が独自に、融資不適格と判定される状態を内部情報として社内ブラックリストという名目で保存していますので、他社と共有するというものではありません。
共有しているのは、個人信用情報機関に登録された内容だけです。
金融業界には、「悪い情報は直ぐ流せ、良い情報は流さない」という風習があります。
これは、自社の顧客を他社で契約させないように、他社で借りるのなら自分のところに相談させるためです。
一部のクレジットカード会社の個人信用情報機関への報告が遅いのは、これらの風習が今もなお残っているということです。
結局社内ブラックはクレジットカードやカードローン審査に影響する
ブラックだった人が、個人信用情報機関に登録された情報はきれいになったし、クレジットカードでも作ってみようかと思って申し込んでみても、申込先によっては審査落ちすることもあります。
この場合、考えられる悪い要素が何もないのであれば、社内ブラックリストが審査に影響したことに間違いありません。
どの程度まで影響する?
社内ブラックの審査における影響は、どのような終わり方をしたかということが重要で、時々返済が遅れていたくらいでは、あまり審査落ちの原因にはなりません。
どんな返済であれ、完済しているなら問題視することもないのかもしれませんが、自己破産された人には入会資格を与えないカードローンやクレジットカードがほとんどです。
自己破産は元本も回収できなかったという汚点があるため、任意整理で利息の免除を受けた人とは区別しているようです。
完済さえしていれば、審査に通る可能性がある!
社内ブラックリストの登録者数が多いのは三井住友フィナンシャルグループ
三井住友フィナンシャルグループには、プロミス・SMBCモビット・セディナがあります。三井住友フィナンシャルグループはかなり複雑な合併をしているので気を付けて下さい。
グループでなくても、自己破産の社内ブラックリストの登録者数が多い三井住友カードが、審査するクレジットカード会社が増えていることには注意が必要になります。
(例)ドコモのクレジットカードdカードは、三井住友カードが審査をしています。
セディナ
セディナはリフォームローンやマイカーローン、ディーラーローンでかなりの確率で扱われています。そのセディナでローンを組む場合注意しなければならないのは、オーエムシーカード(OMC)・セントラルファイナンス(CF)・クオークで延滞や過払い請求をしていないかということです。
株式会社オーエムシーカード(OMC)・株式会社セントラルファイナンス(CF)・株式会社クオークの3社が2009年に合併して、セディナとなりました。
2020年株式会社セディナは、SMBCファイナンスサービス株式会社と合併し社名を変更しました。
プロミス
プロミスとSMBCモビットはテレビコマーシャルでお馴染みですが、プロミスは過去に大きな吸収合併をしていますので注意が必要です。
プロミスは、過去に三洋信販が運営していたポケットバンク・アットローン・クラヴィスを吸収合併しました。
クラヴィス
クラヴィスは、大阪で営業を行っていた消費者金融です。設立当初はリッチ株式会社と言う名称でした。2000年になるとプロミスの子会社となります。その後、複数の会社と合併を繰り返し会社名を「ぷらっと」、「クオークローン」、「タンポート」と変更していきました。
最終的にクラヴィスという社名に落ち着きましたが、過払い金問題などによりクラヴィスは2012年に破産しました。
三洋信販
三洋信販(本社福岡)が運営していたポケットバンクはCMでは有名人を多数採用することでその認知度を高めていきました。
また自己資本率が高く、堅実な経営とされていましたが、2000年台に入ると過払い金問題や、顧客取引履歴の改ざんが明るみに出るなどして金融庁から業務停止命令を受けるなどして経営が怪しくなります。そして2010年にプロミスに吸収合併されました。
アットローン
@ローンは、さくら銀行や住友銀行などが出資していたことで、初めて銀行系の消費者金融会社として有名になりました。
IT技術や統計分析を利用した審査体制の構築や少人数での運営によって低金利の商品を提供していましたが、プロミスがアットローンの大株主になります。
当初はプロミスとの差別化が出来ていたのですが、貸金業法の改正により差別化も難しくなり2011年にアットローンはプロミスに吸収されました。
三菱UFJフィナンシャル・グループにも社内ブラックリストが多い
三菱UFJフィナンシャル・グループはあまり複雑ではありませんが、大多数の銀行や農協のローンやクレジットカードの保証会社としてアコムやニコスが参入しています。
三菱UFJフィナンシャル・グループには、アコムとニコス NICOS(日本信販)があります。
キャッシュワンはアコムの子会社でしたが、現在はじぶん銀行に事業が譲渡されており、じぶん銀行にもアコムから出向しています。
アコム
アコムの前身は兵庫県神戸市にあった「糸丸呉服店」です。呉服店として商売を行っていたのですが、質屋業に転向し最終的には消費者金融業者になりました。
アコムは業界初の自動契約機「むじんくん」や年中無休・24時間稼働のATMを導入など先進的なサービスを投入し拡大してきましたが、貸金業法の改正により資金繰りが悪化し、2004年に三菱東京フィナンシャル・グループとの資本提携を結ぶことになり、2008年には三菱UFJフィナンシャル・グループの連結子会社になりました。
キャッシュワン
当初は東京三菱銀行の出資のもとで、東京三菱キャッシュワンとして設立され、銀行系消費者金融としてアコムの協力により業務がスタートしました。そのため他の消費者金融と違い低金利で貸付を行っており、銀行系の消費者金融ということで、安心感があり人気を高めました。
その後アコムとMUFGが資本提携を行ったことでキャッシュワンはアコムの子会社となります。2009年にはアコムに吸収合併され、東京三菱キャッシュワンはなくなりました。しかし、キャッシュワンの名義はアコム内の別ブランドとして生き残ります。
現在はじぶん銀行に事業が譲渡されました。現在、キャッシュワンの新規の申込みは受付していませんが、新規お申込みの場合、じぶんローンを申込むことになります。じぶんローンの保証会社はアコムです。
レイクを傘下に入れた新生銀行グループ
新生銀行グループは家賃保証などにも力を入れています。新生銀行グループにはレイク・ノーローンのシンキ(姫路発祥)・アプラス・アルファ債権回収株式会社・昭和リースがあります。
レイクは過去にGEキャピタルに買収されたことがあるので、GEキャピタルに悪い情報がある方は注意が必要です。
レイク
「ほのぼのレイク」といったキャッチコピーで有名なレイクも新生銀行グループに買収されてしまいました。90年台後半にレイクはGEキャピタルという外資系企業に買収されます。
しかし、2000年台の貸金業法改正により過払い請求等で経営が悪化し、2008年には新生銀行に買収され同銀行の完全子会社になりました。
新生銀行カードローン レイクは2018年3月31日を持ちまして、新規お申込受付を停止いたしましたが、2018年4月1日より、新生銀行グループの後継商品として新生フィナンシャル「レイクALSA」の商品の販売を開始いたしました。
ノーローン
ノーローンは返済しきれば何度でも1週間無利息のサービスを受けることが出来るので人気がありました。当初は信起商事株式会社という社名で兵庫県姫路市を中心に西日本方面で事業を行っていました。
1984年にのシンキ株式会社に社名変更します。2002年に新生銀行が筆頭株主となり、現在では完全子会社となっています。
オリエントコーポレーションの社内ブラックリストにKCが加わった
オリコで知られるオリエントコーポレーションは、独自路線で特に信用金庫のローンやクレジットカードの保証会社になっている場合が多いです。当然オートローンにも力を入れているので、かなりの確率で目にする機会があります。
利用したことのない方や利用実績のある方には、かなり審査は緩い方だと思います。
私事ですが、時効の援用をしたので一生使えない信販会社となりましたが、時効の援用後は迅速に個人信用情報機関への登録も抹消してもらえましたので、感謝しています。
2006年(H18年)11月楽天KC株式会社のクレジット事業部門を承継しています。
自営業者の社内ブラックリストが多いJトラストグループ(日本保証)
Jトラストグループは現在保証事業をやっていて、過去に自己破産した自営業者だった方は要注意です。
現在存在しない会社ですが、ロプロ・日栄・プリーバ・ステーションフィナンスのスタッフィが関係しています。
ロプロ・日栄
日栄からロプロに社名変更し、ロプロは武富士の債権を持って日本保証という会社になりましたが、現在はJトラストグループ。
プリーバ・クレディア
プリーバは、2000年に当時ネットキャッシングが発達していない中でネットキャッシングを始め、東証一部上場のクレディアという消費者金融が運営していましたが、貸金業法の改正や過払い金問題などで業界の環境が変化するとJトラストフィナンシャルサービスの子会社となりましたが、株式会社ロプロに吸収合併され、現在Jトラストグループになっています。
スタッフィ
スタッフィは阪急電鉄の子会社の株式会社ステーションフィナンスとして消費者金融事業を行っていました。そのためステーションフィナンスのスタッフィは知名度は高いものでしたが、2009年に親会社の阪急阪神ホールディングスが株式会社ステーションフィナンスの売却し、Jトラスト・フィナンシャルサービスになります。
しかし、このJトラスト・フィナンシャルサービスも2010年に株式会社ロプロに吸収合併され消滅し、現在はJトラストグループになりました。
その他の社内ブラックに気を付けるべき有名消費者金融
アイフルは大手消費者金融が政府の思惑で軒並み銀行に吸収合併される中、アイフルと武富士だけ頑なに銀行との提携や合併を拒否し続けました。
アイフルと武富士の社長だけが日本人でなかったことが関係していると推測されます。
アイフルの過去の関係会社は、シティズ(本社熊本)・ワイド・ハッピークレジットで、シティズは熊本に本社があった自営業者向けローンがあった消費者金融です。
元大阪府知事・元大阪市長の橋下徹(はしもととおる)氏が顧問弁護士を努めていました。
過払い請求に拍車をかけたのが、このシティズだけが日本で唯一貸金規制法を完全に守った営業をしていたにも拘わらず、過払い請求が認められた判決が出てしまったことが原因です。
ワイド
ワイドは準大手の消費者金融としてかつて知られていましたが、2004年にアイフルの完全子会社になりました。
現在、ワイドは社名をアペンタクルに変更し債権回収業務のみを行っているみたいです。
ハッピークレジット
ハッピークレジットは元々アイフルの完全子会社として設立されました。ですが不況もあり2004年に「ハッピークレジット」、「進和」、「山陽三洋信販」の三社が合併し、アイフルの子会社トライト株式会社になります。
しかし、2007年には新規の貸付を停止し返済のみを受け付けるようになり、現在は、社名を株式会社ギルドに変更しております。ギルドは現在アイフルの子会社でもなくなっています。
最後に
信用情報機関への悪い信用情報(ブラック)の登録も消えているのに、消費者金融の借入れやクレジットカード、銀行カードローンの審査に通らない場合に考えらることの一つに、社内ブラックというものがあります。
社内ブラックのことを知らないで、通るはずと思っていたクレジットカードやローンが通らなかったということがあるのです。
貸金業法の改正と過払い金の返還で消費者金融は合併を繰り返し、生き残りをかけるようになってきたのです。
そして大手消費者金融は銀行の傘下に入る形を合意させられました。