キャッシングやカードローン、クレジットカードの支払いの滞納を何度も繰り返している間は、カードローン会社は督促の電話をしたり、催促状を送るという手段を取ります。
それを無視して放置していると、簡易裁判所からの支払督促という通知が送られてくることがあり、最悪は給料を差し押さえられることもあります。
滞納を長期間続けていたら、どうようなリスクがあり、どれくらい怖いことなのかを順を追って説明します。
債権者(貸主)から債務者(借主)への最初のアクション
借金やクレジットカードの返済を滞納した場合、債権者は債務者へ『返済が遅れていますよ』という連絡をすることが最初のアクションです。
連絡が取れなかったり、返済の意志がないと判断すれば、法的な手段も取ることになります。
ではその後どのように取り立てしていくのか?実際どんな取り立てを行っていたのか、滞納の末には何があるのか。
連絡が取れなくなった人や行方不明者は、住民票を取ったりFacebook、Twitter、ブログ、LINE等のSNSで現在の勤務先や居所を探すこともできますので、突然誰も知らないはずの現在の勤務先に電話がかかってくることもありますので、気を付けて下さい。
滞納された貸金業者のアクション
電話やショートメールで催促されます。
電話やショートメール以外にも、催促のお手紙が自宅に送られます。
貸金業者の回収担当者が、自宅へ訪問回収にきます。
貸金業者によっては、債権譲渡をおこなう時期になります。
貸金業者は裁判所に訴えます。
金融会社によって多少の違いはありますが、タイムラインではこのような流れになります。
それぞれの流れについて、これから詳しく説明します。
もし、今借りてでも返済をすれば返済計画を立てることができるのであれば、低金利での融資が公的機関から受けることができます。
1.電話や手紙で取立て
返済日に入金を確認できなかったら、翌日携帯電話に電話をかけます。出なかった場合は、『折り返しご連絡ください』」というメッセージを留守電やショートメールに残します。
この時点で、ほとんどの人が支払うのですが、
それでも連絡が無かった場合は、まず、『○○金融の○○ですが、返済期日を過ぎていますが、本日入金できますか?』と、柔らかい口調で携帯に電話をかけ、電話に出ない場合は、同じ内容を留守電やショートメールに残します。
それでも連絡が無い場合は、週に一通のペースで自宅に手紙を送ります。封筒には担当者の個人名を書くだけで、社名は入っていませんが、見て分かる人には分かります。
勤務先に取立ての電話をかけてはいけない決まりになっているので、勤務先にはかけませんが、やむを得ない(延滞が長い)場合、勤務先にかける場合もあります。
自宅へは、申込書に『自宅に電話をかけてもよいか』と問う欄に「○」がついていればかけます。
2.自宅を訪問し、直接交渉
取立ての電話や手紙に対して、2ヶ月以上何の反応も無かった場合には宅を訪問して直接交渉します。
基本的に自宅まで行くのは一人暮らしの場合ですが、家族と同居している場合交渉し易い(家族にバレたくないので)ので、だいたい夕方の6時半から7時半ぐらいに訪問します。
夜9時以降の訪問は法律で禁じられているので、夜9時を過ぎたら、家の外で待って偶然会った振りをする場合もあります。
近年では、大手消費者金融やクレジットカード会社が、訪問するというケースはありませんが、自動車ローンの滞納は、二週間に一度の訪問があります。
3.裁判所に訴える
裁判所に訴えるのは、滞納開始から6ヶ月後くらいですが、3ヶ月の滞納をしたら債権回収サービサーに『債権譲渡』するケースもあります。
当然、裁判所に提出する書類の準備も進めながらその間に電話や手紙で取立てを続けます。
訴えられたら、給与を全部 差押えられてしまうのでしょうか?
滞納金額と属性(職業、勤続年数、収入など)により、『給与の差押え』と『全額一括返済』の2パターンで裁判所に訴えます。
どちらのパターンになるかは、大きく分けると、例外もありますが次のようになります。
- 滞納額が多いが、収入も多い人
⇒給与の差押え - 収入が低く、返済が難しそうな人
⇒全額返金を要求
裁判所からの「支払督促」により通知され、呼び出しがあったのに出廷しない場合には、債権者側の訴えが100%通りますので、異議申し立てをするか出廷して分割を認めてもらうようにした方が良いです。
長期間滞納した場合裁判所から届く「支払督促」ってどんな手続?
借金の返済が滞ると、当初は借入先から電話がかかってきたり郵便が送られてきたりして、督促が行われることが多いです。
この督促に対して放置していると、裁判所から「支払督促」という書類が届くことがあります。
これは、簡易裁判所での「支払督促」という手続きによるもので、申立人の申立てのみに基づいて簡易裁判所の書記官が相手方に金銭の支払いを命じる制度です。
申立人の申立てに基づいて、裁判所書記官がその内容を審査し、相手方の言い分を聞かないで金銭の支払いを命じる「支払督促」を発付します。
発付された支払督促を送っても、相手方がお金を支払わず、異議申立てもしない場合、申立人は支払督促に対して仮執行宣言を発付してもらい、強制執行を申し立てることができます。
放っておくと、大切な資産や給料などを差し押さえられてしまう可能性が高いです。
住宅ローンの長期延滞なら、競売開始決定通知書が送られてくるでしょう。
裁判所から支払督促の通知を放置してはいけない!リスクだらけ
「支払督促」が届いて放置していると、2週間が経過してしまえば「仮執行宣言」をつけられ、貸金業者から給料や預貯金などを差し押さえられてしまう可能性があります。
具体的には、給料を差し押さえるために、勤務先に通知がいきます。
簡易裁判所から支払督促が届いたら、
- 二週間以内に異議申し立てをする
- 不安であれば、すぐに弁護士に相談に行く
この2点が重要ですので、適切に対応しましょう。
借金が多く、支払いが難しい場合には、債務整理を検討して下さい。自己破産した方が早く借りれるようになります。
「給与の差押え」とは?
滞納者の給与から強制的に借金を回収することです。基本的に、手取りの4分の1まで差押えることができます。
給料や賞与も4分の1か33万円を超える部分を差し押さえられてしまいます。
たとえば、手取り30万円の人であれば7万5,000円まで差押えることが可能です。
給与の差押えを裁判所に申立てたら、裁判所から滞納者の勤務先に通知がいきます。
勤務先は連帯債務者となるので、会社を辞めない限り給与から天引きし、それを裁判所に納めなければいけません。
ただし、差押えをするなると貸した側も裁判所に一定のお金を予納金として支払わなければいけないので、貸した側の負担も大きいのです。
給料の差押え以外には?
もし、積み立て型生命保険に加入していたら、強制的に解約されて、その解約返戻金を取られてしまいます。
賃貸住宅に住んでいれば、家主に対して敷金の返還を請求する権利も差押えの対象になります。
さらに、自宅などの不動産を所有している場合などには、不動産も差押えの対象になります。
差押えが実行されたら自宅が競売にかかって、借金返済に充てられてしまうので、注意が必要です。
給与の差押えを回避するには?
給与の差押えを回避するためには、支払督促の通知が届いたら、すぐに次に述べる2つのうちどちらかの対応をとりましょう。
①貸し手側の主張通りに返済することができる場合
⇒「支払督促申立書」を受け入れる
②貸し手側の主張通りの返済が難しい場合や内容に不服な点がある場合
⇒「異議申立書」を提出し、裁判に出廷する
異議申立書に書く内容は、「分割での支払いを希望する」とだけ書けばいいです。
相手側との交渉で、分割払いなどに債務負担のハードルを下げてもらえるように和解できます。
裁判には自分一人で出廷することもできますが、弁護士をつけることも可能です。その際には、弁護士費用がかかってしまいますので、貸した側は気分がよくありません。
なぜなら、弁護士費用が払えるのであれば、そのお金を少しでも入金に充当して欲しいからです。
だから、消費者金融や銀行等の貸金業者の本音は、『払えないなら自己破産して欲しい』と思っているのです。
異議を申し立てをした後の手続きの流れ
支払督促に対して異議を申立てたら、その後どのような手続きの流れになるのかを説明します。
債務者に支払督促の通知が届いてから2週間以内に異議申立があると、手続きは通常訴訟に移行します。
通常訴訟とは、裁判所で行われる一般的な「裁判」のことです。口頭弁論を開いて審理され、これにより債務者の利益が保護されます。
なお、督促異議の申し立てにより、通常の訴訟へ移行することになりますが、請求金額が140万円以下なら簡易裁判所で審理が行われ、140万円を超える請求であれば、地方裁判所に扱われることになります。
ただ、どちらの場合でも、担当部署が決まるまでに2週間~1ヶ月くらいはかかることが多いので、その間に適切な対処法を考えておくべきです。
あらためて担当部署から、再度「特別送達」が債務者宛に郵送されます。このときは、通常訴訟になりますので、債務者側からも具体的な反論をする機会を与えられます。
また、裁判所を通じて和解もできるので、相手と話し合いにより、減額してもらい和解をすることなども可能です。
延滞中に届く支払督促を使った詐欺に注意!
身に覚えのない借金について、裁判所の支払督促の手続きを悪用した詐欺があるということを知っておいてください。
延滞もしていないから大丈夫だと思っていてはいけません!
詐欺師が、お金を貸していない人などに対し、いきなり支払督促申立をしてくることがあります。
この場合、本物の裁判所から送られて来るケースと、裁判所を偽装した支払督促を送るケースがありますので注意してください。
最近,身に覚えのない出会い系サイトの利用料などの支払いを求める架空請求について,督促手続や少額訴訟手続を仮装し又は悪用するケースがあるという相談・情報が法務省・国民生活センター等に寄せられています。
単なる架空請求であれば,身に覚えがない以上請求に応じる必要はありませんが,裁判所の手続を悪用する形で請求してきた場合には,注意を要します。
引用:法務省「督促手続・少額訴訟手続を悪用した架空請求にご注意ください」
不審な点がある場合は、まず、封筒や書類に記載されている裁判所の電話番号や住所などが本物かどうか、裁判所ホームページで必ず確認しましょう。
本物の簡易裁判所からの支払督促に対し、異議申し立てをしないと、本来なら支払い義務がないのに、仮執行宣言が出て財産を差し押さえられてしまいます。
このように、身に覚えがないのに支払督促申立書が届いたら、必ず意義申立書を出さなければなりません。
不安な場合には、弁護士に相談しましょう。
借金の滞納は、早めの対処を!返済が難しい場合には債務整理
新型コロナウイルスの影響でリストラされたり、誰でも生活をしていく上で想定外な出来事や事故などは起こるものです。
これまではきちんと借金の返済をできていたのに、突然返済するのが厳しくなってしまうことは十分考えられます。
『借金が返せない』
『借金がなかなか減らない』
もちろんそういった状況に陥らないように気を付けておくことが一番ですが、そうなってしまった場合、状況に応じた対処をする必要があります。
また返済が遅れそうになった場合は、その時点で借入先に連絡・相談するなど早めに対処しましょう。
この債務整理の方法にしよう!と決めてみても、本当にその選択が自分にとって正解なのか、そもそも自分は債務整理をしなくてはならない状況なのか? そういったことを、専門家ではない個人で判断するのは、たいへん難しいことです。
自分ひとりでどうしていいのか分からない場合は専門家に相談することをおすすめします。
ひとりで抱え込まず、弁護士や公的機関の助けを借りて生活の立て直しをはかりましょう。