延滞中でどこからも借りれなくなったかたでも、債務整理の一つである自己破産をおこなうことには、簡単に踏み出せないということも理解できますが、少し耳を傾けてみませんか?
借金を減額したり免除する債務整理には、主に「任意整理」「自己破産」「個人再生」の3種類がありますが、持ち家でない場合には、自己破産をおすすめします。
家族にバレたくない方やどうしても自分でできない場合には、弁護士や司法書士に依頼するのが一般的ですが、自己破産をする多くの方は多重債務者であり、依頼する費用を工面できるのかが難しいところです。
自己破産や任意整理をしたら、生活水準が一気に楽になるということはまず考えられませんが、自己破産にするか任意整理にするか決断の後押しになればと思っています。
延滞者に自己破産をお勧めする理由
延滞中の方に自己破産を勧める理由は、あの時自己破産しておけばよかった、と私自身が後悔したからです。
私の場合、結果的に延滞を始めてから12年後の2016年にやっと1枚のクレジットカードが持てました。自己破産をしていれば、2009年にはクレジットカードが作れたはずでした。
そんな私の経験を交え、自己破産が怖いと感じている方の力になれたら幸いです。先ずは自己破産することで、どのような経済的メリットがあるのか理解して下さい。
自己破産すれば借金の返済義務はなくなるのですか?
自己破産申し立て後に免責が確定すれば、借金の返済義務はなくなります。
経済活動に行き詰って自己破産を考えた場合、どのような手続きを行えばいいのですか?
裁判所に自己破産の申し立て手続きをすることになりますが、不動産などの資産がある方とない方では手続きが違ってきます。自己破産の申し立ては裁判所に行けば「自己破産申立書」という書類をもらえますので、自分で行うこともできます。わからない場合には弁護士か司法書士に相談してください。
自己破産するデメリットはありますか?
借金やクレジットカードを作りにくくなることがデメリットですが、借金ができない・クレジットカードが作れないということではありません。
自己破産を行使した場合、どのような制限が科せられるのですか?
自己破産後に受ける制限はありません。ただし、自己破産申し立て中には、国家資格の種類によって就けなくなる職業があったり、海外旅行など行動を制限されることもあります。
延滞者としての12年は無駄だったという経験
筆者の場合は、延滞期間が5年以上ありましたので、時効の援用という手段が使えましたので、時効で借金はチャラにできました。
時効の援用とは、お金を貸した側にとって、お金を返してもらうことは当然の権利ですが、お金を返してもらう権利は、長い間何も動きがない状態が続くと、消滅時効という法律上の制度により、権利が消滅することがあります。
引用:アディーレ法律事務所
時効の援用とは?時効を迎えた借金は援用することで返済義務がなくなる
時効の援用後には、普通にクレジットカードもつくれるようになりましたし、自動車ローンや住宅ローンも組めるようになりました。
しかし、支払いができなくなって12年逃げたことより、さっさと決断して自己破産していれば、5年もすれば、普通にクレジットカードも作れたはずです。
債務整理の方法次第で違う経済的メリット
債務整理の方法次第で普通にクレジットカードが持て、ローンも組めるようになる時期が異なるので、ブラック状態の期間が少しでも短くて、計算上のメリットの根拠がある自己破産を私は勧めるのです。
仮に任意整理での和解金額と毎月の返済金額が、180万円を5万円ずつ3年で返済するというケースであれば、もし自己破産していれば、自己破産から3年後には108万円の貯金があるという計算になります。
自分で債務整理を経験した人のケース
債務整理の種類 | 毎月の 返済額 | 毎月の 貯蓄額 | 遊興費等 | 3年後の 貯蓄額 |
---|---|---|---|---|
任意整理 | 50,000円 | 5,000円 | 5,000円 | 180,000円 |
自己破産 | 0円 | 30,000円 | 30,000円 | 1,080,000円 |
このように、数字で見れば一目瞭然で、任意整理するより自己破産したほうが、日々の生活が楽しくなると思えませんか。
法テラスを利用して債務整理費用を分割払いにした場合
債務整理の種類 | 毎月の 返済額 | 法テラス 返済額 | 毎月の 貯蓄額 | 遊興費等 | 3年後の 貯蓄額 |
---|---|---|---|---|---|
任意整理 | 50,000円 | 5,000円 | 0円 | 5,000円 | 0円 |
自己破産 | 0円 | 10,000円 | 20,000円 | 30,000円 | 720,000円 |
任意整理であれば、貯金はおろか、冠婚葬祭のような急な出費があっても、簡単にはお金を捻出することはできません。
自己破産による金融業者側(債権者)のメリット
実は消費者金融やクレジットカード会社には、自己破産された場合、税法上の全損扱いになるので、税金が圧縮され全額回収したのと同じ効果があるというメリットがあるのです。
長期に延滞されたり、任意整理されるより、自己破産をされるほうが債権者側にはメリットとなるのです。
自己破産したことによって、借金を踏み倒してしまって申し訳ない、担当者に親切にしてもらったのに、借金を踏み倒した形になったという考えは捨てるべきなのです。
ただ、友人知人から借りたお金を、自己破産の対象にすることだけは絶対に避けて頂きたい!
借金の返済義務を免れる事ができる債務整理の種類について
自己破産(じこはさん)とは、裁判所から認められると背負っている税金以外の全ての借金の返済義務を免れる事ができる債務整理の1つの方法です。
- 自己破産
- 任意整理
- 個人再生
自己破産とは
裁判所から認可を貰うことで借金を免除するための手続き己破産には2つの申立が必要で、破産の申し立てと免責(借金を帳消しにするための手続き)の許可の申し立てを併せて行います。
免責の許可が降りることではじめて借金が免除になります。
任意整理とは
借金をしている人の代理人(弁護士や司法書士など)が貸金業者と交渉し、毎月無理のない金額に分割して返済しやすくするための手続きですが、任意整理では借金の元本まで免除されることはまずありません。
また法的手続きではありませんので一方的・強制的に債務額が圧縮されることもありません。
あくまでも貸金業者との協議をして、結果的に借金を減らしてもらう手続きです。
任意整理後に残った借金に関しては、返済をしていかなければなりません。
つまり、借金額に対して返済していけるだけの収入がないのであれば任意整理は利用できないということになります。
この場合は、自己破産を検討するしかないでしょう。
個人再生とは
裁判所から認可を貰うことで最大で90%の借金が減額される手続き個人再生は住宅を残せることに加え、借金の理由を問われない(債権者集会を開く必要がない)ため心理的な負担は軽いと言えるでしょう。
ただし、個人再生手続き完了までの6ヶ月はあくまでも目安であり、書類の不備など手続きに滞りが生じれば、その分完了は先伸ばしとなります。
個人で行う場合は特に不備が生じやすい為、専門家のサポートを得ながら行うのが一般的となります。
個人再生は、借金を最大で10分の1まで減額できる・住宅を手放さなくてもいいというメリットがありますが手続きは複雑です。
実際、個人再生を行うと思っている人の大半は、手続きの複雑さに悩まれ、中には辞退してしまったというケースもあります。
自己破産の手続きについて詳しく解説
自己破産の手続には資産や借金等の状況により、「同時廃止」と「管財」という2種類の手続があります。
破産手続の開始を申立てると、裁判所による審査の後、要件を満たしていると判断された場合には、破産手続開始決定(旧破産宣告)がなされ、破産手続が開始されることになります。
同時廃止と管財
免責の手続きには「同時廃止」と「管財」の2種類あります。自己破産を申し立てと同時に財産がない場合には、同時廃止という手続きがあります。
- 同時廃止:資産を持っていない人のための手続き
- 管財:ある程度の資産(車や家、貯金など)を持っている人、または免責不許可事由(ギャンブルなどで負債を抱えて原因に問題がある)に該当する人のための手続き
没収された資産は債権者たちへ配当されますが、どのように配分していくのか、手間がかかるためこの手続きは面倒です。
同時廃止の手続きの場合ですと配当する財産を、そもそも持ち合わせていないため、管財よりも免責確定までの流れがスムーズに運びます。
免責許可
残った債務について法律上の支払い義務を免除する制度のことを「免責」といい、免責許可とはこの借金を消すための手続きのことです。
許可が下りれば借金がなくなります。破産の原因が免責不許可事由に該当し、免責を許可することが正義に反すると裁判所が判断した場合は免責が認められません。
許可が下りるまでの期間は、各地方裁判所によって期間が違いますが、自分で手続きした場合には一週間から数ヶ月かかります。
また、免責許可が確定しても、税金など一部の債権は免除されません。
免責の効果は、破産者の支払義務を免除するだけで、保証人に対しては及びませんので、保証人との打ち合わせが必要になります。
免責が認められたのに借金が残るケース
免責が認められたのに、返済の義務が残る借金があり、以下の場合に該当します。
返済の義務が残る借金
- 税金
- 養育費、婚姻費用
- 故意、過失により不法行為による損害賠償
- 故意に隠していた借金
- 罰金
絶対に知っておくべき自己破産のメリットとデメリット
自己破産は免責が認められると、借金の返済義務から逃れられる救済処置ですので、延滞者ではなくなります。
その分大きなデメリットもあり、これらデメリットを認識したうえで自己破産を行なわなくてはなりません。
自己破産の手続きが始まると、借り入れができなくなります。費用を工面するために隠れて借り入れをした場合、免責の際に不利になります。
費用をまかなうために、弁護士費用を立て替えてくれる法テラスや、分割払いが可能な弁護士事務所もあるので、そちらの利用をオススメします。
それでは、自己破産のデメリットをお伝えしていきます。
メリット | デメリット |
---|---|
借金が免除され返済義務が無くなる 自分でも手続きが可能 貸金業者からの取り立てが止まる 手元に残せる財産もある 家族に迷惑はかからない | 個人信用情報機関にブラック情報が登録される 現在は自己破産してすぐに利用できるクレジットカードがあります。 就ける職業に制限がかかる 財産が没収される場合がある |
最大のメリットは借金の支払い義務が免除される
自己破産の最大のメリットは、借金の支払い義務が免除されるというで、免責が確定した段階で借金は免除されるため、債権者は給料の差し押さえや、取りたてができなくなります。
これは自己破産の最大のメリットと言えるでしょう。
借金でどうしようもできない状況に陥り、債務者が闇金を借りたり、夜逃げや自殺などの最悪な判断をしてしまわない為にも自己破産の制度があります。
金融機関の実務上では、自己破産の申立て準備に入ったという通知が届いた段階で、請求することを止めますので、一日も早く手続きに入ることをお勧めします。
※自己破産は国が認めた借金棒引きなのです。
ある程度の財産は残すことができる
自己破産では財産が没収されるというデメリットがありますが、自己破産の手続きが完了した後でも、生活するためには衣食住のためにある程度の財産は必要になります。
そのためにも没収すべき資産と見なされない範囲で財産を残すことができます。
自己破産によって住む場所も、今後の生活費も何もかも奪われるということは絶対ありません。
生活保護が受けやすくなるというメリット
自己破産後も生活に困窮するのであれば、生活保護を申請することになりますが、受理された段階で自己破産をしていると、生活保護の申請が許可されやすいというメリットがあります。
生活保護受給者は借金の返済を生活保護費からしてはいけないことになっていることからです。
申請を出した段階で借金があると、「自己破産をしてから申請して下さい。」とも促されます。
連帯保証人へ迷惑がかかる可能性
自己破産をすることで、その借金の取り立てが家族へ向かうことはありません。
しかし家族が連帯保証人になっていたら話は別ですが、債権者には連帯保証人に取り立てる権利が生じるので、連帯保証人に迷惑をかけるというデメリットということになります。
また車など没収するに値する資産と見なされるものが、自己破産する人の名義で購入してあった場合、家族共有で使用していたとしても自己破産の手続きを行う際に没収されてしまいます。
結果として家族に迷惑をかけるかもしれません。
一定期間借金しにくい
自己破産を行うと、個人信用情報機関の異動情報いわゆるブラック情報が登録されます。
ブラック情報が削除されるまでに免責確定の日からちょうど5年かかるため、その間はブラックと判断されクレジットカードの利用が少し制限されるというデメリットもあります。
クレジットカード以外にも、その期間中は新しく借金やローンが組みにくい状態ですが、どうしてもお金が必要な場合には、安心できる正規登録の貸金業者で借りるか、自己破産していても作れるクレジットカードを利用して下さい。
ただ、ブラックになったとしても、借りれるのは消費者金融だけではありません。
就ける職業に制限がかかる
破産の手続きが始まると、免責許可の決定が確定するまでの間、以下の職業につけない一部の職種があります。
- 弁護士、司法書士、行政書士、公認会計士、税理士などの士業
- 質屋、古物商
- 生命保険外交員
- 宅地建物取引主任者
- 警備員
財産が没収される
自己破産をする多くの人が同時廃止の手続きにおいて、免責をしてもらうのが一般的です。
しかし所有する貯金や所有物が資産と見なされた場合、管財として処理されるため資産は没収されます。
これは自己破産の大きなデメリットと言えるでしょう。
資産と見なされる例
- 現金にして99万円を超える場合(記載する人はいませんが)
- 預貯金残高が20万を超える場合
- 不動産(ローン残高が2倍に満たない評価額の場合)
- 退職金(見込み額が160万円を超えた場合)
- 保険の解約返戻金が20万円を超える場合
- 29インチ以上のテレビ
20万円を超える貯金に関しては、現金が99万円に満たないのであれば、現金に換金した方が資産として見なされないため得策です。
また資産として見なされる基準は裁判所によって異なります。
自己破産に対する世間一般的な誤解
自己破産について世間一般的な誤解があります。
一部では以下のようなことも自己破産のデメリットとして言われていますが、単なる誤解であるとここで言い切ります。
誤解①会社や学校など周りの人に知られてしまう
破産をすると戸籍に破産者であることが載るため、世間の人に破産の事実がばれてしまうという俗説がありますが、戸籍に破産者であることが載ることありません。
自分で誰かに言わない限り周りの人たちに知られることはほとんどありません。
自己破産をすると官報に氏名住所が掲載されますが、官報を読む人は一般的にいないので知られるリスクはほぼありません。
誤解②家を借りられない
自己破産をしても家を借りれないことはありません。
個人信用情報機関のブラック情報が登録されるため、信販系家賃保証会社を通して家を借りる場合、審査が通らないことがあります。
一般的な家賃保証会社の照会する情報は、これまでの家賃の未払い情報のみですので、家賃まで破産債権に入れた場合には家賃保証会社からの保証が受けれない可能性があります。
その場合、家賃保証会社を使わない物件を探せば良いのです。
誤解③選挙権がなくなる
選挙権は、18歳以上の日本国民に誰にでも平等に与えられた権利です。
そのため自己破産の有無は関係なく、選挙権がなくなることはありません。
また自己破産しても選挙に立候補することもでき、当選すれば議員になることも可能です。
仮に、仮にですが選挙権がなくなっても困ることはないでしょう。
誤解④海外旅行に行ってはいけない
自己破産をしても海外旅行に行くことはできます。
パスポートに自己破産の情報が記載されることがないうえ、出入国の審査の際に自己破産について問われることはありません。
ただし、破産手続き中は、所在地を離れるために裁判所の許可が必要になるため、その期間は海外旅行に行くのはよっぽどの理由がなければ難しいでしょう。
まとめ
もしも自己破産が希望通りに進んだとしても、次にいつ何が起きるかわからないと心得て、慎重に行動することが大事です。
私個人としては、延滞中の方には断然自己破産をお勧めしますが、自宅や車を持っていて自己破産することにより、車を使った仕事、送り迎え、又は引っ越しなどの影響が考えられる方は、極力自己破産は避けたほうが良いと考えます。
手続きをするためには、書類の作成や裁判官との面談がありますが、専門的な知識はなくても、申立ての書類は裁判所の書記官へ言えばもらえますし、書き方も丁寧に教えてくれます。